こんにちは!ドイツに住んでるUIデザイナーのいまがわ (@i_magawa)です。
この記事は「GameGraphicDesign AdventCalendar 2019」の23日目の記事になります。
自己紹介
現在はフリーでUIの仕事をやりつつ、夫婦や育児に関するマンガを描いたりしています。以前は東京でスマホゲームの開発やってました。
こういう記事も書いてます(宣伝)↓
何の記事書くの…!?
スマホゲームUIのローカライズ対応について今回は書きたいと思います。
いくつか案件関わった気がしたりしなかったりするのでまとめてみました。あくまで日本っぽいゲームを海外対応するときの注意点です!
また今回参考として「ポケモンマスターズ」のUIをよく載せています。
ポケモンマスターズはなんと驚異の8言語対応…!殺す気か!ちなみに私は一切運営と関係ないただのファンです。
海外対応の目標
- 英語ネイティブの人とか、日本語以外の言語のネイティブが遊んでもダサいと思われないUIが作りたい!
- 言語が多くなっても運用しやすいようにしたい!(楽したい)
最近の話題だとNetflixのウィッチャーの日本語版ロゴがダs……とかありましたよね。そういうネイティブの人が見てもダサくないものを作りたい!
ハリポタGO、呪文のフォントがダサすぎて憤死しそうなの私だけじゃないよね????????アレスト・モメンタムの改行位置なんやねん pic.twitter.com/G8TU4TgWMg
— もぐもぐ💸✨ (@mgmgnet) 2019年7月2日
これとか最たる感じですよね。ゲームに集中してほしいのにUIのせいで遊びに熱中できないのは良くない。UIはあくまでゲームを際立たせる陰の立役者で、普段は据え置きゲームのコントローラーのようにユーザーが意識せずにぬるぬる使う部分のはずです。
海外の人が見てもかっこいいデザインにできたら最高だけど、せめて最低限ダサいと思われないものを作りたい!
あとはイベントやガチャが定期的に開催されても運用しやすいとハッピーですよね☆
各言語の見え方
ドイツ語長くなりがちだぞ!アラビア語は未知の領域すぎる。ヤバい。
でもドイツ語圏の若いオタクやゲーマーは英語ペラペラな肌感があるので(最近知り合ったドイツ人腐女子英語ペラペラだった…)ドイツ語はそもそも対応しなくてもよいのでは?という、ゲームのターゲット層を厳密にリサーチして判断するのはありかなと思います。ドイツの人すいません!!!
UIデザイナーが考える範囲超えてる。
アラビア語のゲームも一度ぐらい作ってみたいけど、文章が右書きならいっそUI反転するか??ってなる(ない)
各言語の文字数の比較に関しては↓の記事が興味深かったです。
コツ1:オタクな各言語ネイティブを揃える
これは必須ですよね。やっぱり日本生まれ日本育ちだと他の国の人の「普通の感覚」がわからないので、各言語のちょっとオタクでゲームをやるようなネイティブは必要です。社内にローカライズチームがいるのか、翻訳会社を利用するのかは会社によって違うと思いますが、相談しやすい環境を整える方が良いです。どのフォントだとかっこいいのか相談したい。
あと日本住んでるとほぼ意識してないけど、宗教が関わってくる表現はしない方がいいです。
例えば「クリスマスガチャ」をやる場合、「クリスマス」は本来キリスト教のイベントのため、イスラム教徒ユーザーにはちょっと…となるので「ホリデーガチャ」という言い方にするとか。内容としてはクリスマスっぽいイベントだろうけど…。でも最近のイスラム教徒はクリスマスパーティーするよみたいな話もあるかもしれないので確認してください。
そういうちょっとネイティブに確認したいことが地味にあるので、相談しやすい場は設ける必要があると思います。
コツ2:最大文字数を決めておく
カード名が長くなりがちなので気をつけて!
文字が入るデザインパーツはゆったりとスペースを取っておいたほうが無難です。そもそも改修入ったりとかよくあると思うので、海外対応抜きにしてもUIの拡張性を残しておくのは大事ですね。
どの言語でいくにしても、最大の文字数の目安は決めておいたほうがよさそうです。
シナリオに関しても英語だと文章長くなるので、ポケモンの場合だと横幅の狭いフォントを使ってました。あと幅広めのフォントの2種類使い。あと英語ドイツ語系だと文言の開始位置をガッツリ左にしてた。
英語フォントはアルファベット+記号程度で容量軽いからフォント数種類とかウェイト違いをアプリ容量気にせず積めていいな〜!
私がもし何か新規多言語対応タイトルに関わるとしたら、ポケモンマスターズの各要素の文字最大数をすべて洗い出して参考にします。
コツ3:プログラム側だけで対応するデザインにする
基本的に文言はよっぽどじゃない限りパーツ画像には含まないようにしたいです。基本的にパーツはシンプルな状態で。読み込み画像枚数削減のためにもなる!
グラデありの袋文字とかちょっとしたドロップシャドウつき文字もUnity側でやっちゃう。どれぐらいUnityで表現できるのか試行錯誤してみると楽しいです。
画像に文言を含むのは自動文字流し込みでない限り事故る可能性が高いため、極力デザイナーを介さずプランナーと翻訳チームが入力した文言マスターデータがゲーム内にそのまま反映される仕組みがいいと思います。
コツ4:要素が多い画面や小さいボタンのサイズに気をつける
プレゼント受け取り、編成、ステータス画面とか、文言が多くなりがちな画面はちょっとだけ気をつけて。
あと日本語版に合わせた小さすぎるボタンには注意。「詳細」とか全角2文字用に作られたボタンははみ出す可能性がある。
余裕があるなら、ポケモンマスターズみたいにテキストの長さに合わせて可変するデザインにするのもいいかも。(↑ストーリー画面の名前とか)ボタンは可変しない方がいいですが。優先度もあると思うので、エンジニアさんとどこまで対応するのかは相談してみてください。
コツ5:文言を表示する以外で表現できないか考える
そもそもここは文言いらなくね?っていう判断もできると思います。
例えばインゲーム中で「アイテムGET!」という演出があったとして、キラキラアニメーションで主張させつつアイテムが操作キャラに吸収するような演出を追加すれば、文字で説明しなくても分かるはず。文字で説明しすぎる必要はないと思っています。
また他のゲームでもよく見かけるようなアイコンなら、ゲームをすること自体が超初心者でなければ文言がなくても認識できるかもしれません。
私の場合は、よりグローバルに認知されているアイコンを知るために、アイコンデザインするときは↓のようなサイトで検索して参考にしています。Google検索でも十分です
https://www.iconfinder.com/
「settings」で検索してみた例。レンチのアイデアもありますが、歯車のアイコンはsettingsとして認知されているとわかる!
あとはチュートリアル画像も、画像自体には文言は乗せないとか。プログラム側のテキストで補足するのを前提にする形。
あとワールドフリッパーみたいにチュートリアルを映像で見せるのは良いなと思いました。映像学習よい。画像とテキストはスルーしがちだけど、映像だと目に入ってくる。
コツ6:運用しやすい仕組みにする
このへんの毎週毎月運用コスト発生がするものは、いかに省エネで最大限表現ができるかを考えた方がいいです。
- イベント
- ガチャ
- お知らせ
お知らせ画像1個の作成にしても8言語あると何倍もの時間がかかるので、ポケモンマスターズのお知らせ画面みたいな運用はいいなと思いました。
下地の画像だけデザイナー側で作って、各言語は文言乗っけてもらうだけ!
でも結局ホーム画面には画像バナーっぽいの出してるんだよな〜あの画像の作成は完全自動化できてるのかな〜半自動かな〜(小声)
あと特にデザイナーの工数が毎回かかるのは、イベントやガチャのロゴですよね。
こういうのってデザイナーの腕の見せ所で、各ゲームで違いがあって面白いんですけど多言語対応するとなると話は別です。
毎月毎週あるイベントやガチャの専用ロゴを各言語分毎回用意するの…!??ネイティブチェックに回す時間はあるの…!??考えただけで疲れる〜
特にバンドリはやばい。ロゴ毎回おしゃれで可愛くてクオリティも高いのにそれを複数言語対応してる!!!!日本語以外は外に出してるかもですが、それでも毎回かけるコストがすごい。
イベントロゴとかガチャロゴとかってもっとシンプルに運用できないんでしょうか…そもそも専用ロゴはなくても成り立つのでは?!
私達はイベント&ガチャロゴを作らなければいけないという固定概念にとらわれていないか?
多言語対応のポケモンマスターズやFEヒーローズは省エネ対応なのでいいなって思った。賑やかなのに慣れてると若干寂しい感もありますが…ゲーム自体が面白ければいいのだ。
イベントロゴ作るの超楽しいし目にも賑やかだけど、ゲームをより楽しく遊んでもらうための改修や、新しいイベントスキームのUI試行錯誤に時間を割けるようにする方がユーザーにとってハッピーなのでは?と最近思います。
コツ7:デザインの元データは綺麗に保つ
デザインデータはきれいに整理整頓しような!
複雑なレイヤー構造にはしない方が吉です。他の人に見られても恥ずかしくないようなデータ作りは心がけたい。
それとイベントロゴなんかは日本語以外の対応を誰かにお願いすることもあると思うので、対応する人のスキルでロゴのクオリティが変化しないように、レイヤースタイルとか調整レイヤーコピペだけで再現できるものがいいでしょう。
まとめ
気にしすぎるとはっちゃけたデザイン案は出ないので、とりあえずこの記事読んだら頭まっさらにしてやりたいデザインをとりあえず作って提案するのが良いと思います。細かい部分はあとから調整すればいいのです。
文言をローカライズしてくれる人たちも、ここはなんとかこの文字数内でお願いしますと相談したら全力は尽くしてくれるはず。
ただ後々、これ海外対応大変だけどデザインとして変えたくねぇ!っていうものが出てきたら、その特殊デザインによって発生する工数を洗い出す(本当にその工数が必要なデザインなのか?)のが大事です。簡略化できないのか、他の見せ方ができないかも考えた方が良いでしょう。超爆裂Coolなデザインだったら採用するのはアリです。
海外対応、なにかと手間がかかって大変ですが、英語でレビューもらったり、自分が関わったゲームが地球の裏側で遊ばれてると思うとハッピーになれます。
楽しく開発して楽しく遊んでもらいましょー!
私が今回書いたのはごく一部の触りでしかないので、もっとこうした方がいいよっていうのがあったら教えてください。
またフルリモート可なゲームUIの仕事を春以降で探してるので楽しい案件あればお問い合わせください☆